基本情報技術者試験の合格率は、過去10年間で20%~30%を推移しています。
ただ過去の合格率をチェックしたところ、試験によっては合格率が8%なんて試験もあったようです。
そこで今回は、基本情報技術者試験における50年間分の合格率をグラフにしてまとめてみました。
ちなみに令和元年以降の試験では、試験に大幅な改正が入りました。
今回はそんな試験改正による影響も考察していきたいと思います。

基本情報技術者試験って、昭和44年から始まっている歴史ある試験なんだね

初期の試験だと試験の開催が年1回とか、今では耳にしないプログラミング言語が選択できたらしいな

今の試験とはかなり内容が違うんだろうね

むしろ別物と考えてよさそうだぞ
・令和元年~令和3年

令和元年から令和3年までの合格率は、過去の試験と比べて大幅に上昇しています。
特に令和2年以降の試験に関しては、合格率が40%を超すレベルで推移しており、過去の試験と比べると明らかに試験の価値に変化が出てくるでしょう。
ただ今回の合格率上昇の原因は、問題の難易度が低下したという話だけではありません。
というのも
- 受験応募者数の低下
- 合格者の人数自体は、過去の試験と同じくらいで推移している
(令和2年の試験を除く)
- 合格者の人数自体は、過去の試験と同じくらいで推移している
- 試験範囲の改正
- プログラミング言語Pythonの追加
- CBT試験への移行
といった要因が絡んでいるからです。
ちなみに新型コロナウイルスの影響をもろに受けた令和2年以降の試験では、応募者数が3万人も低下しました。
ただ応募者数の低下により、試験を本当に必要とする人だけが受けたとも考えられるため、受験生のレベルも上昇していると考えられます。

さすがに例年の試験と比べて20%も合格率が上昇しているのは問題があるよね…

まあ上記で挙げた要因もあるから単純な考えはできないが何とも言えない所ではあるな…

ちなみに令和5年の試験からは、試験内容に大幅な変更が入る予定だよ

これから試験を受ける人や再試験を考えている人なんかは、確実に目を通しておいた方が良いぞ

・平成21年度~平成31年度春期
まずは現在行われている試験のベースになっている、平成21年から平成31年春期における試験の合格率をご覧ください。

上記のグラフをパッと見た限りでは、近年10年間の試験における合格率には、以下のような傾向が読み取れます。
- 合格率は2割から3割で推移
- 高い合格率が出た次の試験は合格率が低い
- 低い合格率が出ても次の試験が簡単になる訳じゃない
- 試験によって合格率が10%以上違う
特に2つ目の「高い合格率が出た次の試験は合格率が低い」といった傾向は、状況によってはかなり重要な情報と言えます。
ちなみに現在では多くの学生が選ぶ、プログラミング言語の表計算が導入されたのも平成21年の試験であり、マネジメントや戦略系の分野に範囲が広がったのも平成21年の試験からです。
また平成26年度の試験からは、情報セキュリティの分野が重視されるようになりました。
内容としては、午前試験では情報セキュリティ分野の出題が増加して、午後試験ではセキュリティ問題が必須問題に。
そのため合格率や内容を参考に勉強をするならば、セキュリティ問題が必須問題となった平成26年度以降の試験を重視しましょう。

平成26年度からセキュリティの問題が重視されているっていうが、合格率に大きな違いはないんだな

そうだね。セキュリティの出題率が上がったり、必須問題になっていたりするだけで、問題の難易度自体は上昇していないからね

人によっては、セキュリティの問題が得意っていう人もいるだろうからな

ただセキュリティ問題の出題率が高いってことは、新規問題の出題率が高い可能性が考えられるから注意してね
・平成13年度~平成20年度
次に平成13年度から平成20年度の合格率をまとめたグラフになります。

平成13年度から平成20年度の試験は一目見れば分かる通り、現行の試験と比べて、合格率がかなり低くなっているのが分かると思います。
なぜ合格率が低くなっているかというと、
・計算問題の出題率が高い
・勉強の情報を得られる媒体が少なかった
といった要因があるからだと推測します。
また平成13年は、現行の基本情報技術者試験という名称になった始まりの年です。
当時の試験内容は、ソフトウェア開発に重点が置かれており、情報数学の分野や計算問題の出題比率が高いという特徴がありました。
現行の試験とは、かなり毛色が違う試験となっているため、興味のある人は以下のリンクから過去問題をチェックしてみてください。


平成13年度から平成20年度の試験は、計算問題ができるかどうかで合格率が大きく変わっただろうね

管理人もこの時期の試験を一度だけ受験したことがあるが、計算問題で見事に玉砕したようだなw

あと午後試験の内容も、今の試験と比べるとかなり違うよね

当時はプログラミング言語問題だけが選択問題になっていて、他の問題は解答必須だったからな

プログラミング言語をちゃんと勉強していないと、合格はかなり厳しかっただろうね
・平成6年度~平成12年度
次に平成6年から平成12年の試験における合格率の推移になります。

平成6年度の試験は、
午後試験の解答方法が記述式からマークシート方式への変更がされた試験となっています。
現在では使用できない電卓が使用可能であり、一部免除制度が導入された試験でもあったようです。
また名称が現在の基本情報技術者試験ではなく、第二種情報処理技術者試験として実施されていた試験でもあります。

基本情報技術者試験は元々、記述式の試験を採用していた歴史があるんだね

まあ平成6年辺りの試験は、基本情報技術者試験ではなく、第二種情報処理技術者試験という名前だったがな。

当時は、2種なんて呼ばれていたらしいね
・昭和61年度~平成5年度
昭和61年度の試験は、基本情報技術者試験(第二種情報処理技術者試験)が、年2回の開催になった初めての試験です。

また見て分かる通り、昭和61年度から平成5年度までの試験では、時折1桁台に迫る合格率になっていたようです。
他にも昭和から平成にかけての試験では、午後試験で選択するプログラミング言語に、FORTRANやPL/Iといった今ではあまり耳にしない言語が使われていました。
他にも平成4年度秋期の試験では、今では定番になったC言語が追加されたようです。

FORTRANとかPL/Iは、聞いたことが無い言語だね

今の試験で選べる言語は、
Java、C言語、Python、アセンブラ、表計算以上の5つだから、ほとんど入れ替わったことになるな

それだけパソコンと情報処理という分野は、内容のサイクルが早いってことだね

たったの3年や5年で、技術が大きく進歩する世界だからな

ちなみに午後試験のプログラミング言語で、どのプログラミング言語にしようか迷っている人は、以下の記事を参考にしてみてね

・昭和44年度~昭和60年度
最後に昭和44年から昭和60年の合格率をまとめたグラフになります。

昭和44年度から昭和60年度の試験は、現行の年2回の試験ではなく、年1回開催の試験であったようです。
また初めて開催された昭和44年の試験では、合格率が8.3%であったように、実験的な意味合いが強い試験だったのかも知れません。
そのため基本情報技術者試験の初期の試験に関しては、現行の試験とは完全に別物と考えてしまってよいかと思います。

なんかこうして時代を追ってみると、基本情報技術者試験は色々な変化があったんだね

試験範囲の変更、プログラミング言語の変更、試験方式の変更。それこそ細かい変更を含めて数えたらキリが無いほどだろうな

まあ昭和44年から実施されている試験だからね。歴史が長いということは、それだけ変化しているという裏返しでもあるんだろうね
まとめ
今回は基本情報技術者試験の合格率の推移について解説しました。
基本情報技術者試験は、さまざまな変更があって現状の試験への調整されたようです。
ちなみに現行の基本情報技術者試験は、以下のような傾向があります。
- 合格率は2割から3割で推移
- 高い合格率が出た次の試験は合格率が低い
- 低い合格率が出ても次の試験が簡単になる訳ではない
- 試験によって合格率が10%以上違う
- 令和元年以降の試験では、試験の改正により合格率が大幅に上昇している
試験に臨む上でなかなか有益な情報であるため、頭の片隅にでも覚えておくようにしましょう。
コメント
制度変更してからの合格率だけでなく、変更前の合格率も掲載してほしかったですね。
可能であれば、1980年代あたりから。
みみこんさん。
コメントありがとうございます。
昭和44年からの合格率を載せた資料を持っているため
時間がある時にまとめたいと思います。
ただ予定では、年明け1月中での更新になると思いますので、
気長にお待ち頂ければ幸いです。
合格率の記事に、昭和44年(1969年)からの合格率をまとめたグラフを追加しました。
参考にして頂ければ幸いです。